企業戦士へ、
英語会議が脱線する。一人が思いついた話を始め、別の人が乗っかり、そこから昔の案件の思い出話。気づけば残り5分。本題は何も決まっていない。
そして最後に誰かが言う。"Let's discuss it again next week." その来週も、たぶん同じことが起きる。
心の中では「その話、今じゃなくない?」と思っていた。でも英語で割って入る一言が出てこない。愛想笑いでうなずいているうちに、時間だけが溶けていく。くそーーーー。
英語会議の脱線は、止める人がいないから起きる
脱線そのものは悪くない。いいアイデアは、だいたい脱線から出てくる。問題は、誰も本題に戻さないことだ。
日本では、人の話を途中で止めるのは失礼だと感じる。だが英語の会議では、話を戻すのは仕切る人の当然の役目と受け取られる。止めても誰も気にしない。むしろ戻してくれる人がいると、みんなホッとしている。
言いたいことは浮かんでいるのに、英語の一言が出てこない。これは英語力ではなく、反射の問題だ。止める一言を体に入れておけば、迷う時間はなくなる。
脱線には3種類ある。種類で戻し方を変えるべし
話を戻す英語は、脱線の種類で使い分ける。毎回同じ一言で止めていると、言われた側も「また止められた」と感じる。
- いい話だが、今日の議題ではない。 消すのはもったいない。脇に置いて、最後に戻る。
- 一部の人だけが盛り上がっている。 残りの全員には関係がない。会議の外に出す。
- 何となく時間が溶けている。 誰が悪いわけでもない。残り時間を言って戻す。
会議で話を戻す英語フレーズ、最初に鍛える3つ
| 型 | フレーズ | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| 保留する型 | Let's park that for now. | それは一旦置いておきましょう | いい話だが、今日の議題ではない時 |
| 場外に出す型 | Can we take that offline? | それは会議の後で話しませんか? | 一部の人だけが盛り上がっている時 |
| 時間で戻す型 | We have 10 minutes left, so let's focus on... | 残り10分なので、…に集中しましょう | 何となく時間が溶けている時 |
1. "Let's park that for now." 保留する型
"park" は、車を停めるように話を脇に置いておく感覚。却下ではないので、言い出した人も嫌な気はしない。
効くのは、最初に相手の話を認める一言だ。"That's a great point." を付けるだけで、「止められた」が「拾ってもらえた」に変わる。
That's a great point. Let's park that for now and come back to it at the end.
(いい指摘ですね。それは一旦置いておいて、最後に戻りましょう)
大事なのは、本当に最後に戻ること。保留した話をメモに書き、会議の最後に読み上げる。これを毎回やると、park が「話を消す魔法の言葉」ではなく「ちゃんと拾ってもらえる約束」として信用される。
2. "Can we take that offline?" 場外に出す型
"offline" は「この会議の外で」という意味。ネットがつながっていない、という意味ではない。
ポイントは、名前を呼んで、受け皿まで用意すること。「止める」だけで終わらせず、「別に話せる場を作る」まで言うと、2人とも気持ちよく引き下がる。
Mike, Sarah, can we take that offline? I'll set up a separate call for you two.
(マイク、サラ、それは会議の後で話しませんか?お二人で話せるよう、別の打ち合わせを入れます)
3. "We have 10 minutes left, so let's focus on..." 時間で戻す型
残り時間を口に出すと、人は自然に本題に戻る。止める相手は人ではなく時計なので、誰も責められた感じがしない。
We have 10 minutes left, so let's focus on the launch date.
(残り10分なので、ローンチ日の話に集中しましょう)
残り10分でなくてもいい。15分でも5分でも、数字を言うことに意味がある。
話を戻す英語を、さらに積み上げる
3つが反射で出るようになったら、次はこのあたりを足すべし。
Let's get back to the agenda.
(議題に戻りましょう)
一番シンプルな戻し方。脱線が短く、保留するほどでもない時に使う。
That's a bigger discussion. Let's put it on next week's agenda.
(それは大きなテーマなので、来週の議題に入れましょう)
5分では終わらない話は、次の会議の議題にする。言い出した人の話を、正式なテーマに格上げできる。
Before we wrap up, let's go back to the items we parked.
(終わる前に、保留した件に戻りましょう)
park とセットで使う一言。これを言えば、保留が口だけでなかったことが全員に伝わる。
Can we go back to the launch date? I want to make sure we decide on it today.
(ローンチ日の話に戻ってもいいですか?今日決めておきたいので)
自分が司会でない時はこれ。「戻したい理由」を添えると、仕切っている人の顔を潰さずに本題に戻せる。
10分の英語筋トレメニュー
読んだだけでは、次の会議で1ミリも出てこない。脱線が始まった瞬間に口が動くまで、体に入れるべし。
- 上の3つの例文を、それぞれ声に出して30回。1文30回で3〜4分、3文で10分。朝、家を出る前に終わる。
- 名前と中身を自分の案件に入れ替えて、自分用の3文を書く。それも30回。
- 次に自分が主催する会議で、脱線したら、どれか1つで必ず戻す。言えなかったら、その日の夜にもう30回。
ゴールは、覚えることではない。「あ、脱線した」と思う前に "Let's park that" が出ている状態。英語が筋肉の一部になっている状態だ。
話を止めるのは、全員の時間を守ること
初めて英語で話を止める時は、心臓バクバクだ。でも言ってみると、誰も怒らない。むしろ会議の後で "Thanks for keeping us on track." と言われたりする。
止めないで1時間を捨てるより、一言で全員の時間を守る方がいい。
筋肉は裏切らない。
会議を始めてから締めるまでの進行全体は、英語会議の進行フレーズにまとめた。
